フィリピンのスラム街で子どもたちに出会ってから7年、「誰もが平等に夢を描き努力できる社会を。」伝える、西側愛弓さんの他己紹介。

再生ボタン Ayumi Nishigawa

西側愛弓さんについて

西側さんの人生にとってファッションは欠かせません、そのルーツは大好きだったおじいさま。大阪で会社経営をされていたおじいさまは、とてもおしゃれでカラースーツを着こなし、愛情深くラテン感ある方だったそう。晩年の病室でもスペイン語の歌を歌いながら『あゆみ、ロマンに生きるんやで』とメッセージをくれるような....。そんなエピソードを伺うと西側さんという人への理解が深まるような気がします。というのも、バックパッカーとしての世界旅や、ファッションスナップのZINEの発刊、NPOや事業立ち上げなどを聞くと、パワフルでなんでもできてしまう人なんだろうなとイメージしそうですが、実際の西側さんの印象は、春の陽気のようなムードで力みがなくチャーミング、押し付けるような雰囲気はなく、そのままの相手へのリスペクトや感謝、愛が溢れているのが伝わってくるのです。彼女は不思議な力をもっていて、どんどんサポーターが集まってきてしまうのです、もしかしたら彼女のビジョンに対するピュアさが、私たちの中にあるピュア成分を引き出してしまうのだろうと感じたりします。西側さんの活動に接することで、私たちが自分のことを好きになれる、そんな見えないギフトをもつくってる西側愛弓さんを、インタビューで感じたことを他己紹介文として添えさせていただきます。

これまでの歩み

非営利団体のNPO法人 DEAR ME代表理事、そして営利団体の株式会社coxcoのCEOでもあります、この2つの活動をまとめる世界観が「誰もが平等に夢を描き努力できる社会を。」です。最初はNPO団体からはじまりました、きっかけは大学生時代のバックパッカーとして、世界中のストリートでファッションスナップ撮影し、ZINEを発刊するという旅をしたときのこと。フィリピンのスラム街で夢を描くことすら諦めなけれならない現実を目の当たりにし、そのアンフェアさに違和感を抱き、2015年NPO団体「DEAR ME」を立ち上げました。自身が大好きなファッションというパワーを信じて、DEAR MEはスラム街の子ども達とファッションショーを開催し、子どもたちが明るい未来を想像する機会を作ってこられました。その間、大学を卒業した西側さんは、NPOの活動を継続しながら新卒でサイバーエージェント社に入社し営業職でビジネス経験を積んだ後、本格的に自分の活動をするために退社し、2020年に事業会社である株式会社coxcoを設立。coxcoとNPOの役割が循環していくことは、西側さんの描く世界観を現実化していく大きな一歩でもあります。2022年の後半にはフィリピンへの渡航が可能になり、念願のスクール「coxcoLab」立ち上げが本格的に動き出されたニュースが届きました、継続して西側さんの活動を追っていきたいと思います。

Ayumi Nishigawa タイムカプセル

  • 旅は人生

西側さんが今のDEAR MEやcoxcoの活動のルーツともいえる「旅」、彼女にとって旅とはを質問したら「きれいにまとめたら人生ともいえる、深さやきれいさ、泥臭いことが旅につまってる」と。彼女にとって、旅とは人生のメタファーでもあって、きっと旅のプロセスから、自分自身の気づきや学び、閃きやエネルギーを得たりされてるのだろう、それらがDEAR MEやcoxcoを通じて、私たちにビジョンやプロダクトやつながりを届けてくれてもいるのだと。もしかしたら私たちは「西側愛弓」という旅にお供しているのかもしれないなと想像したら、彼女の未来が一層ワクワクしてくるのです。
(この写真は、電車移動中の八尾駅にて、coxco社は西側さんひとり、そのため外部との連絡も、荷物の持ち運びもすべて彼女自身でこなされています、SNSでは想像できない肉体労働具合に、表を支えるには舞台裏があると感じました)
  • 自信はついてないけど

    自分の活動の可能性を

    感じれるようになった

有名雑誌や、メディアで拝見する回数が多くなってきた彼女に、以前と比べて自信がついたかを聞いてみたときの回答です。印象的だったのは、今の自分がどうかではなく、活動そのものが未来を照らすだろうと感じられるようになった、そのようなニュアンスであったことです。何者かになろうという力みは彼女からは感じたことがありません、むしろ自分が表に出ようが出まいが、自分の名が残ろるかどうか、そのようなことには無関心のように感じます、だからそこ私たちは、活動そのもののピュア性を感じているのかもしれません。同時に、自分自身が幸せであることも大切にされていると感じます。自己犠牲的なことではない、溢れる愛を分かち合っていく、そのような世界観での利他性に私たちは惹かれているのかもしれません。
(この写真は、布の倉庫でのひとコマ、ダッシュできるほど広い倉庫内に管理された布番号を記載されたA4の綴りを片手に、棚から棚へと移動します、その運動量といい、8月という暑さといい、このお宝探しは思いがなければできないなと実感しました)
  • 無力感を感じながらも

    自分ができることを

    やっていく

「社会課題に向き合っていて、無力感は感じないのか?」不躾な質問だなとおもったが、どうしても聞いてみたかったのです、大きな社会課題に向き合う当事者がどう感じてるのかを。「自分がファッションスクールをつくったとしても世界は変わるわけではない、だけれども私が出会う人たちに対してだけでもなにかきかっけになったら....」言葉が詰まることもなく答えてくれた背景に、考え尽くしてきた日々を感じました。個人的には、小さくてもいい、という彼女の心持ちにとても信頼を寄せています。ひとつの小さな選択が、身の回りの誰かに影響を与えてるかもしれない、そんなエンドレスな物語づくりに、私も参加していきたいと思っています。
(この写真は、広大な倉庫からピックアップしたロール状の布たち、このあと、更に布を選別するためにサンプルカットします、まだまだ服になるにはプロセスがあります、思った以上にステップがあって驚いてる筆者です)
  • バリバリで

    強い人間じゃない

    それを伝えることに

    意味がある

SNSやメディアから受け取る印象で、私たちは相手のイメージを固めてしまいます。西側さんはそのギャップがある一人なのではなかろうか?と思って本人に聞いてみました「SNSの自分と本当の自分」について。彼女自身はヘルシーにSNSを活用されてるのが判ったと同時に、パブリックイメージとのギャップがあることも判明しました、もしこれを読まれてる方が西側さんにパリッとした印象を抱いてるとしたら(もちろんオフィシャルでそういうときもあります)、実際会った人に「にぎやかな方ですね」とコメントされる別面の彼女が伝わったら嬉しいなとおもいます、そして、にぎやかな西側さんを知ることで、DEAR MEやcoxcoが身近な存在になるはずと思っています、なぜなら私たちがそうだからに他なりません。もうひとつ、彼女が伝えたいメッセージとして言っていた、「自分(西側さん自身)が特別なわけではないからこそ、みんなもチャレンジできる」、彼女を特別視するメガネを外すきっかけになったら嬉しいなと思います。
(この写真は、素手でお宝探しをしまくって真っ黒になった手です、西側さんは汚れとか気にしておらず、とにかく目的に向かって淡々とリズミカルに動いていくのが印象的でした、最終的にはデニムの膝も真っ黒になってました、SNSからには載らない一面です)
  • いちばん大切なことは

    笑顔と感謝

この回答は西側さんを象徴するようなワードでした、小学生のころに友達と決めたというテーマ、それをずっと行動し続けてることにただただ尊敬です。そして実際に他者である私がその印象をもっているということは、彼女から笑顔と感謝いうギフトを受け取っている証明でもあります。「笑顔でいるように心がけること、感謝を相手に伝えること、それで人生動かされるようなことがあるのかなって」そんな風に彼女の世界は動いてるとおもうと尊さが滲みます。そして彼女が実証した「笑顔と感謝」のルール、これは私たち誰もが活用できるとも教えてもらった気がします。
(この写真は、布のサンプルカットしてくださる方々とひとコマです、coxcoの服ができあがる過程で、こんなにも多くの人たちの手が関わっていることを知り、着る側として思いも変わってきた筆者です)
  • 愛は理解するものじゃなくて

    きっと感じるもの

西側さんの名前には「愛」という文字があります、彼女は自分の名前を書く度に無意識にでも「愛」と付き合ってきたはずです、そんな彼女に「愛とは?」という抽象的な質問をしてみました。「愛については毎日考える」「言葉にできない、あたたかみを感じること」とそんな風に彼女は答えてくれました。言葉に頼りすぎることもなく”感じる力”が長けてるといつも感じます、そして”信じる力”も同時に感じます。確証がないことを不安になろうと思えばできますが、最後は自分がなにを感じたか、そんな自分を信じる力をもっている西側さんに、私たちはブレなさを感じているような気がします。だから例えば、西側さんが活動を変えたとしても、応援することに変わりはないのだとおもいます。愛を大切にする彼女が、どのように活動に舵をきったとしても、そこにはあたたかさがあるはずだろうという、謎の信頼をもたせてくれています。
(この写真にご一緒に写っていらっしゃる倉庫管理をされている井上さん、西側さんを孫のように接し支援してくださってるお一人です、熱い倉庫で扇風機を準備してくれたり、重いロール状の生地を出し入れを手伝ってくれたり、終わりにはポカリスエットを準備して、駅まで車で送ってくれたりと、側で見てて感動する関係性でした、coxcoにとりまく愛のループが倉庫にもありました)
  • がんばり続けたら

    誰か見ててくれる

    めげないで

    負けないで

1年前と1年後の自分へのメッセージは?と質問しました。彼女は過去も未来も同じ回答をしてくれました。それを聞いて、彼女自身が今があるのは、支えてくれていた人たちがいてこそ、という思いを強く感じました。そんな過程を経て、彼女自身が唯一できることは、信じることに前進し続けること、そんな風にシンプルに捉えてるようにも感じます。西側さんは自分ひとりの限界をネガティブには捉えたりしていない印象で、人にも真摯的に頼ります。頼られる立場としては、自分という人間が役にたてるきっかけをつくってくれる人ともいえるのです。彼女のスタンスから生まれる循環を見ていると、できないことを頼ることは甘えではない、むしろギフト、そんな風に視点を変えてくれました。
(思わずシャッターを切った後姿です、世にでるかもわからない布達に囲まれた倉庫の中で、coxcoの服をまとった西側さんが凛として歩く姿がかっこよく、coxcoの世界観を表現する1枚となりました)

2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ

  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ
  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ
  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ
  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ
  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ
  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ
  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ
  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ
  • 2021年8月、服に生まれ変わるのを待っている、眠っている布を探しに真夏の倉庫へ

About Business

About Business

西側さんが描く世界観の中で、NPO法人のDEAR MEと、株式会社のcoxcoは循環しています。coxcoの服が社会課題をしるきっかけになったり、その売上はNPO活動のファッションスクール「coxcoLab」の設立に活かされ、2022年始動しました。将来的には「coxcoLab」で製法された服が、coxcoのオンラインショップで購入する日がくるかもしれません。西側さんはアパレルブランドをつくることが目的ではなく、人と経済と夢がフェアな循環をつくる活動をされてらっしゃいます。彼女はいいます『私たちが創るものは服ではありません。服のかたちをした、社会課題と向き合うメディアです。私たちは毎回、ある課題にフォーカスし、ファッションを通してその問題解決に挑戦します。「服を着る」という当たり前の行動がいつか世界を変える日が来る。そう信じて、このメディアを手にしたあなたといっしょに、一歩踏み出してみたいのです。ここから、ともに。』

Ayumi Nishigawa From: タイムカプセル

編集後記

西側さんを尊敬するひとつは「いつでも西側愛弓」であることです。他者の目を意識して演出してしまうこともなく、心のホームを自分にもってありのままの自分を受け入れ、他者にもそうする、これはとてもすごいことだなと素直に感じていますし、接する度に自分もそうあろうと思い出させてくれるのでとても感謝しています。

なくなくカットしたのですが、そんな西側さんもSNSや取材時にも見せない人間味を感じるシーンがありました。彼女のリラックスできる時間は?という問いに「金曜の夜」と。社会全体が休息にむかっていく静寂のスタート地点、ここで彼女は本当の自然体の自分に戻るのだろうと思いました、それは僕らタイムカプセルでも見れない超自然体の彼女、どんなにSNSでキラキラしていても、チャレンジングな活動をしていても、僕らと同じ人間なんだとそんな当たり前のことを心に留めて、彼女の人生テーマである「愛」で描かれた世界観のプロセスを追っていきたいと思います。
  • 編集部
  • 映像・写真・文章 タカマツ ヒロミ